障害福祉事業のお金の流れ
障害者グループホームを含む障害福祉事業は、入居者・サービス利用者に支援を提供することで、国民健康保険団体連合会(通称:国保連)から訓練等給付費(自立支援給付)が発生します。
訓練等給付費は基本報酬とも呼ばれ、サービスの提供から2ヶ月後に入金される仕組みで、職員の人件費などの運営費として使います。
障害者グループホームの場合、入居者は障害者総合支援法に基づく利用料を支払わなければなりません。
障害者グループホームの報酬単価
基本報酬は、単位数×地域ごとの1単位の単価(地域区分)=報酬の総額で計算しますが、要件を満たす支援として加算になれば基本報酬に上乗せされます。
また基本報酬には以下3つの類型があり、開所するグループホームの状況に応じた類型になります。
■共同生活援助サービス費
■日中サービス支援型共同生活援助サービス費
■外部サービス利用型共同生活援助サービス費
障害の度合いを示す障害支援区分によっても基本報酬の金額は変わり、障害区分の重さに比例して基本報酬も高くなりますが、支援をおこなうために求められるスキルも高度になります。
障害者グループホームの収支は?
■売上・利益に関わる要素
障害者グループホームにおける売上・利益は、主に以下の通りです。
サービスの提供で国から支給される給付金
入居者が負担するサービス利用料(条件を満たす場合のみ)
入居者から支払われる家賃・食費・光熱費・通信費・日用品費など
入居者から支払ってもらう家賃・食費・光熱費などは実費であり、出入りする額は同じ、もしくはマイナスとなります。
入居者の家賃・食費・光熱費などで利益を出すことは国が認めておらず、実費よりも高い金額で徴収・利益を出していることが発覚した場合、全額返還する必要があります。
また障害者支援の目的にそぐわないことが理由で、ほとんどの行政が障害者グループホームに礼金・敷金を設けることを認めていません。
■支出に関わる要素
障害者グループホームにおける支出は、主に以下の通りです。
生活支援員などの職員に支払う人件費
家賃・光熱費
火災保険などの保険料
またフランチャイズに加盟している場合やコンサルタントを雇用している場合は、ロイヤリティ・報酬も支出となります。
発生した売上からこの支出を引いた額が障害者グループホームの利益となります。
■収支のシミュレーション例
単位数×地域区分×入居日数(月)×入居人数で収支を計算します。
例として、地域区分10円の八丈村で障害支援区分3の入居者が6人、共同生活援助サービス費Ⅰ(人員配置6:1)、夜間支援等体制加算Ⅰの障害者グループホームを経営している場合、収支シミュレーションは以下の通りです。
【1日の基本報酬】
単位数297×6人×地域区分10円=17,820円
【1日の加算報酬】
単位数187×6人×地域区分10円=11,220円
【月の基本報酬】
1日の基本報酬17,820円+1日の加算報酬11,220円×入居日数30日=872,100円
上記の例の場合は約87万円が基本報酬として支給され、ここから障害者グループホームの人件費・家賃・光熱費などを差し引いた金額が手元に残る利益となります。